監視資本主義 Surveillance Capitalism とデジタルレーニン主義 Digital Leninism
監視資本主義とは、個人が意図せずに提供したパーソナルデータの集中管理に基づいて、AIが個人に介入することを指す。2016年のイギリスのBrexitの国民投票、あるいはアメリカの大統領選挙などがこれに該当する。これらの投票の勝った方の裏側では、Cambridge Analyticaというイギリスの選挙コンサルティング会社が暗躍していた。Facebookの友達APIを使って、利用者の友達の情報を不正に収集し、マイクロターゲティングをかけていたのだ。この手法がさらに洗練されてくると、最終的に個人の投票をかなり左右してしまう、という懸念がある。
一方、デジタルレーニン主義はCentralized AIを使った権威主義的な統治のことを指す。典型的なのが中国で、中国の芝麻信用あるいは民間の信用サービスであれば個人は使わないという判断も可能だが、これらは政府が運用する社会信用システムなので、中国人はここから逃れられない。街中の監視システムも高度に発達している。
しかしこれらを国際協調で抑制するのは無理だろう。勝者を産むからだ。つまり特定の企業や国家に巨大な利益や覇権をもたらし得るので、核戦争や地球温暖化のように「勝者を産まない」ものとは決定的に異なる。従って話し合いが成立しない。