森本 裕子

森本 裕子

(写真:Jasmin Reuter / shutterstock

イスラエルとパレスチナの子どもを友だちにしたオンラインゲーム

テックは紛争問題の解決にも一役買うことができそうです。オンラインゲームがイスラエルとパレスチナの子どもたちをつないだ例を紹介します。

Updated by Yuko Morimoto on May, 18, 2023, 5:00 am JST

オンラインゲームを通じて敵対する地域の子どもをつなぐ

Games for Peaceというプロジェクト※1をご存知でしょうか。このプロジェクトは、マインクラフト※2などのオンラインゲームを通じて、イスラエルやパレスチナ、中東など、紛争に苦しむ地域の子どもたちが、普段は敵対している紛争相手の子どもたちとの間で、ゲームを通じた協力体験を共有できるようにすることを目的としています。

敵対の対象となる集団への偏見を減らすには、その集団の人と直接会うこと、つまり集団間の接触が重要だと指摘したのは、心理学分野では有名なオルポート氏という人です※3。このオルポート氏の理論は広く受け入れられ、実際に実践されてきました。2006年に、それまでの50年間に行われた500件以上の研究データが分析され、実際に集団間接触が集団間の偏見を減少させることが強く示されています※4。

しかし、紛争や緊張状態にある地域の子どもたちを直接会わせるのはなかなか難しいものです。そこで、Game for Peaceプロジェクトでは、オンラインゲームを通じてであれば、つまり自宅のコンピュータからなら、紛争や緊張状態にある地域の子どもたちを、安全性とプライバシーを確保しながら、つなげることができるのではないか、と考えたのです。