「国産」ではなく「国内」クラウドに注目
公正取引委員会の「クラウドサービス分野の取引実態に関する報告書」では、海外事業者の寡占が進む現状が報告されています。クラウドの中でもハードウェアインフラ設備を提供 するIaaS(Infrastructure as a Service)およびOSやアプリケーションを稼働させるプラットフォームを提供するPaaS(Platform as a Service)の国内の市場規模と上位5社のシェアを分析したものです。2020年度の推計シェアは、AWS(Amazon Web Services)が40~50%、マイクロソフトが10~20%と大きなシェアを持ちます。3位にNTTコミュニケーションズが5~10%で入るものの、4位はGoogle、5位はセールスフォース・ドットコムという具合です。
こうした状況に危機感を覚える人たちも少なからずいるため、最近では「国産クラウド」を重視する必要があるという声も高まっています。このように一般にキーワードは「国産クラウド」であることが多いのですが、「国産」というとサーバーのメーカーまで日本企業であることを求めるといった解説を目にします。これは現実的には困難です。ハードウェアやソフトウェアまですべて国産とすると、選択肢が限られてしまいます。
Neutrix Cloud Japanでは、クラウド自給率を上げるためのキーワードを「国内クラウド」だと考えています。国内クラウドは、以下の2つの条件を満たすものと考えます。
■国内資本の国内事業者が提供するサービス
■データセンターが国内にあるサービス
この2つの条件を満たせば、クラウドが「国内」にあると考えられるのです。