僕の仕事は街をうろうろすることから始まる。何か面白いものはないかと、あちこちを歩き回っているとついつい引き寄せられる場所がある。路地裏だ。
路地裏はそこで生きる人々の生活が見えるが面白い。なかにはカメラを持った人間がうろつくことを嫌がる人もいるけれど、僕が撮っているものがただの路地であることがわかると段々と許してくれる。
魅力的な路地裏は駅の近くに多い。だから僕は例え車ででかけても、まずは駅の近くへ行ってみる。
魅力的な路地には出口も入り口もない。次々と複数の路が連なっている。
僕は面白い路地を求めるときは、生活音がする方へする方へと動いていくから、気がつくとどこにいるのか検討もつかなくなっている。
迷子になっているのだ。
けれどやはり、そういうときほど面白い写真が撮れる。迷子になっているときが一番いい写真が撮れるときなんだ。
世界のどこへ行ってもそう。生活感のある路地は面白いね。