グルカ兵の故郷は、首都・カトマンズから車で約6〜7時間移動した先にある。雲海を見下ろす場所にあるが、標高は3,000mに満たないためネパールの村の中では比較的過ごしやすい。
グルカで育った男性は当たり前のように兵士としての訓練を受け、世界の戦場へと飛び出していく。
そのため村に残るのは女性、老人、子どもたちばかりだ。
残った人たちばかりで農業をし、生活を切り盛りしなくてはならないため、グルカの人々は働き者である。
子どもたちも学校へ行く前に急峻な坂道を下って水を汲み、家へ運んでいくことが日課だ。
力仕事に向かない高齢者は、子守などをして家族を手伝う。
村の主役たちは、なんといっても女性たちだ。
ヒンドゥー教徒の彼女たちは色鮮やかな衣服を纏い、農業に家事にと精を出す。
グルカの故郷では稲作が行われている。
年中、ここで穫れる米とカレーが彼らの食事だ。ハレの日には肉を食べることもある。
大切な財産である牛に草を食べさせることも欠かせない。
忙しい日々の中で、楽しみはみんなで集まってのおしゃべりだ。
そこかしこに大小さまざまな集団ができ、飽きることなく楽しそうに話し続ける。
彼女たちの警戒心は薄く、レンズを向けると笑顔を向けてくれたり、近くへ来いと呼び寄せてくれることもある。
旧日本軍も恐れたという勇猛なグルカ兵たちだが、その故郷は穏やかな魅力で溢れていた。