大澤夏美

大澤夏美

(写真:a katz / shutterstock

メディアとしてのミュージアムグッズ

ミュージアムで味わった感動を手元に残すことのできるミュージアムグッズ。実はミュージアムグッズは「メディア」としての役割も果たしている。そのパワーをミュージアムグッズ愛好家の大澤夏美氏が紹介する。

Updated by Natsumi Osawa on August, 7, 2023, 5:00 am JST

博物館はメディアそのもの

ここで博物館がどんな施設なのかを紹介したい。文化庁の示す博物館の概要としては「博物館は,資料収集・保存,調査研究,展示,教育普及といった活動を一体的に行う施設であり,実物資料を通じて人々の学習活動を支援する施設としても,重要な役割を果たしています。」とある。※4 つまり資料という物を通じて研究をし、その成果を展示、教育する施設なのだ。

博物館における専門職員である学芸員になるためには資格を取得する必要がある。その方法の一つとして、博物館大学で文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得し、大学を卒業して学士の学位を取得する方法がある。※5 その科目の一つとして博物館情報・メディア論がある。

例として放送大学で開講されている科目の講義概要を見てみると、「博物館は、展示による情報の発信のために、さまざまなメディアを利用する。一方で、博物館自体が、展示を通じて、さらには博物館全体として、社会に情報を発信するメディアそのものだとも言える。」とある。※6

水嶋(2012)も「報道機関と同様に,文化保存期間としての博物館も,歴史的・文化的情報を次世代に継承させる社会的意味があり,その意味では博物館機能全体がメディアということもできるであろう。」※7 と述べている。

博物館がメディアとしての役割をもち、広く社会に研究成果を発信する側面があるということがお分かりいただけるだろうか。

※4 文化庁「1.博物館の概要」(2023年6月30日閲覧)
※5 文化庁「博物館に関する科目について」(2023年6月30日閲覧)
※6 放送大学「博物館情報・メディア論 講義概要」(2023年6月30日閲覧)
※7 水島英治 2012「博物館メディアの役割と学習活用」『新博物館学教科書博物館学III——博物館情報・メディア論*博物館経営論』大堀哲・水島英治(編). pp.30.東京:学文社.