Modern Times トレンドやや深堀り

Modern Times トレンドやや深堀り

(写真:Zamrznuti tonovi / shutterstock

人が集まるSaaSには、大きな◯◯がある

2024年8月22日(木)SaaS企業・業界分析メディア「Next SaaS Media Primary」を運営する早船明夫氏が、SaaSのトレンドについて解説しました。内容を簡単に紹介します。

ご視聴はこちらから
https://youtube.com/live/YARub-zmA48?feature=share

Updated by on August, 26, 2024, 5:00 am JST

飽和しつつあるホリゾンタル領域で天井を突き抜けたIVRyの考え方

――まず、IVRyの考え方についてご紹介いただけますか? 

早船:IVRyというスタートアップは最近注目されており、特にXなどで「人材のブラックホール」として話題になっています。彼らは電話の自動応対をSaaSで提供しており、このサービスは主に中小企業や店舗向けに利用されています。私自身、IVRyの代表に取材し、そのユニークなビジネスモデルに非常に興味を持ちました。中小規模の事業者にとって、電話対応の自動化は非常に大きな価値があると感じています。

IVRyは、T2D3という5年で72倍の成長を遂げるという成長モデルに当てはまる企業です。特に印象的なのは、代表の奥西さんが自分の経験を基に、必要性を感じたところからこのサービスを立ち上げたことです。彼はリクルート出身で、何度も試行錯誤を重ねながら、このIVRyを成功させました。この成長の裏には、彼自身の実体験が大きな役割を果たしています。営業電話ばかりかかってくるため電話をずっと無視していたら、銀行からの電話に気づくことができず融資を受けることができなくなったことが、サービス立ち上げのきっかけとなりました。電話をかける側と受ける側の非対称性に気がついたんですね。

――人材のブラックホールとして知られるIVRyですが、なぜこれほど人材が集まるのでしょうか?

早船:IVRy自体が市場にしっかりとはまり、急速に成長しているため、優れた人材が集まってきています。特に、メルカリやChatWorkといったIPOを経験した人材も多数参加しており、その再現性をもって成長しています。奥西さんのビジョンとリーダーシップが、人材を引きつけているのです。さらに奥西さんは「時価総額1兆円を超えるのは当然」と考え、そのビジョンでも人を引きつけています。

製造業のあり方を本気で変えるAIデータプラットフォーム「CADDi」の挑戦

――次に、AIデータプラットフォーム「CADDi」の挑戦についてお伺いします。CADDiについてご紹介いただけますか?

早船:CADDiは製造業のスタートアップで、部品を購入したい企業とその部品を作る企業をマッチングするプラットフォームを提供しています。最近、この事業を止め、第2のプロダクトに全力を注ぐという大きな決断をしました。これは、国内市場に留まらず、米国市場にも本気で挑戦するスタートアップの一つとして注目されています。製造業という日本の主要産業に挑む、非常に意義深いスタートアップです。

――CADDiの新しい挑戦が成功すれば、製造業の環境はどう変わるのでしょうか?

早船:製造業は日本が誇る数少ない強みの一つです。CADDiの挑戦が成功すれば、日本の製造業に新たな風を吹き込み、国内外での存在感を増すことができるでしょう。

国内スタートアップエコシステムの現状と、フリーとマネーフォワードの黒字化

――最後に、FreeeとMoney Forwardの黒字化についてですが、これがスタートアップエコシステムに与える影響は?

早船:これら2社が黒字化を達成することで、SaaS事業そのものへの安心感を投資家に与え、他のSaaS企業への投資が増える可能性があります。もしこれらの企業がつまずくようなことがあれば、後に続く企業にも影響を与えかねません。そのため、非常に重要な局面にあると思います。

ご視聴はこちらから
https://youtube.com/live/YARub-zmA48?feature=share