井上顧基

井上顧基

Adobe Expressで生成した実際には存在しない女性。

(写真:Adobe Express 生成AI

2023年の生成AIをめぐる、企業や国の動きのハイライト

2023年は、生成AI技術・大規模言語モデル(LLM)が大きく進化した年であり、多くの企業や研究機関がこの分野で新たな発見や製品を発表した。ここでは、2023年に生成AI関連で注目された企業や国の動きをハイライトで紹介する。

Updated by Koki Inoue on December, 26, 2023, 5:10 am JST

OpenAI

OpenAIはGPT-4 Turboのリリースなど、画期的な開発を数多く発表。この新モデルは、画像解析能力を含む高性能なAI技術を提供し、コスト効率を向上させた。また、カスタムGPTとGPT Storeの導入により、開発者は自分たちのAIモデルを特定のタスクやドメインに合わせて調整できるように。さらに、Assistants APIやDALL-E 3 API、新しい音声合成APIの投入により、AI技術の応用範囲が大幅に広がった。

Microsoft

Microsoftは、Azure上でのAIサービス展開に力を入れ、特に企業向けのAIソリューションで市場をリードしている。また、OpenAIとの緊密な協力関係も注目されている。

Meta

Meta社は大規模言語モデルLlama 2をリリースし、Microsoftとの提携を拡大してAzure AIモデルカタログに統合した。また、安全性と責任を重視するAI開発のためにPurple Llamaプロジェクトを開始。ビッグテックがクローズドなLLMモデル開発を行う企業が多い中で、LLMのエコシステムを作り出す役割は大きい。

Google

GoogleはLLMの開発と展開において、特にAIチャットボットBardのアップデートや2023年12月に発表されたGeminiモデルなどで大きな前進を遂げた。

新興企業

多くのスタートアップが、LLMを用いた革新的なサービスを発表し、業界に新たな風を吹き込んでいる。その中でも注目される企業として、MistralとAnthropicが挙げられる。Mistral AIは、GoogleのDeepMindとMetaの卒業生が共同設立したパリを拠点とするスタートアップであり、LLMの分野で重要なプレーヤーとして登場し、Mistral 7Bを発表した。また、AIの安全性と研究会社であるAnthropicによってAIチャットのClaude 2が開発された。

中国

2023年は、中国における生成AI産業の大きな進展と変化の年だった。初頭には百度が新世代大言語モデルに基づく生成AI製品「文心一言」を発表した。澳鹏(Appen)は、LLM大模型開発プラットフォームを発表し、これはデータセット管理、データ収集、モデル評価、モデル微調整、モデルデプロイメントなどを含む全面的なサービスを提供する。このようなプラットフォームの開発は、中国におけるAI技術の工業化と産業化を推進する重要な一歩である。

日本

日本では、企業や研究機関から注目すべき進展が見られた。NECは、130億個のパラメータを持つコンパクトかつ高性能な日本語LLMを開発。また、ソフトバンクは日本語に特化した国産LLMの研究開発に特化した新会社SB Intuitionsを立ち上げた。研究機関では国立情報学研究所が主催するLLM勉強会から、130億個のパラメータを持つLLMが開発・提供された。同じく研究機関で東京大学松尾研究室から100億のパラメータを持つ日英2ヶ国語対応の大規模言語モデルが公開された。日本語の場合、英語と比べて学習するデータ数が少ないことから、どのようにして高品質なデータを作成するかが鍵となる。

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