Kaede

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(写真:Mukesh Kumar Jwala / shutterstock

インドで急成長するデジタル系スタートアップ

インドのIT都市バンガロールでは、日常生活で必要な各種サービスをスマホひとつで利用できる。こうしたサービスの多くは、インド発のスタートアップが提供している。
今回の記事では、これらの生活サービスについて、インド都市部で成長している理由、および現地在住の筆者の利用体験を交えて紹介していく。

Updated by Kaede on June, 30, 2023, 5:00 am JST

Wifiで自動制御する、浄水器のサブスクリプション

最後に、浄水器のサブスクリプション「Livpure Smart」を紹介する。同社は、Wifiで自動制御するスマート浄水器を提供している。2012年にインド、グルガオンで創業したスタートアップである。インド国内のスマート浄水器市場のシェアでは1位(29%)となっている。

インドの飲用水事情を説明すると、水道水は飲用に適した水質でなく、中間層以上の家庭ではどこでもタンク交換式のウォーターサーバーや、浄水器でろ過した水を飲用している(一方で、低所得者層は安全な飲み水を得ること自体が難しい状況にあり、手に入れたとしても、その水質は健康上問題ないとは言い難い)。

ウォーターサーバーは、20リットルサイズのタンクをサーバーに取り付けて使用するタイプが一般的である。サーバー自体の価格は1万円程度が主流である。サーバー上部に乗せる水入りのタンクは、街中の商店で購入することができ、都市部ではデリバリーも発達している。ただし、次に紹介する浄水器と比べて、水質が落ちると言われている。

インドで代表的な浄水器の種類には、RO膜(逆浸透膜)、UV(紫外線による浄水)など電力を必要とする高価格なもののほかに、砂ろ過などを利用した電力を必要としない低価格帯のタイプがある。

インドでは、RO膜を利用したモデルが中間層、富裕層を中心に人気がある。こうした浄水器の価格は約5万円~7万円ほどするが、安全で水質の良い飲用水を得るためには金がかかるという意識は、中間層や富裕層には共有されている。

Livpure Smartの浄水器(筆者撮影)

先述の家具と同様、浄水器も大きな支出である。日常的に飲む飲用水なので品質は落とせないものの、インドの都市部に短期滞在する単身者や若者にとっては、大きな買い物である。そうした背景もあり、品質の良いRO浄水器のサブスクリプションの人気が高まっている。

利用方法は非常に簡単である。アプリから浄水器の設置を申し込むと、翌日には浄水器が届き、担当者が来て設置してくれる。浄水器の設置、および故障の際の修理費用は無料である。サブスクリプションは、毎月利用する水量に併せて異なるプランがあり、最短1か月から利用できる。費用は1か月あたり約450円~600円である。

Livupureの特徴は、浄水器の利用をWifiでスマート制御している点である。浄水器には Wifi が繋がっており、サブスクリプションを開始すると、スマホと連携し浄水器が起動する。浄水器では、ろ過した水量を計測しており、ユーザーが選択したプランの上限に達すると、スマホ上で通知が出て、追加購入が促される。また、サブスクリプションプランの期限を過ぎると、自動的に浄水器の運転を停止し、スマホ上でプランの延長を催促される。

筆者もこのサービスを利用しているが、浄水器の設置から毎月の支払いまで、非常にスムーズな顧客体験である。毎日飲む水なので、品質は妥協したくないものの、数万円する浄水器の購入は少しハードルが高かった。そんな中、気軽にサブスクリプションできる品質の良い浄水器は、非常にありがたい存在である。

以上、インド、バンガロールでの生活に浸透するサービスについて紹介した。いずれも、「業者に依頼して仕事してもらう苦労が大きすぎる」「クオリティの良い家具や家電を購入しても支出が大きい、高く買い取ってもらえない」「品質の良い飲み水を利用したい」と言った、現代のライフスタイルの基本的なニーズを支えるためのビジネスモデルである。

日本とインドではインフラ事情は大きく異なるが、家庭環境やライフスタイルが多様になっている分、サービスとして応用できる仕組みがあるかもしれない。

参照リンク
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