2022年末に登場したchatGPTは瞬く間に世界に広まり、多くの人がAIとの「会話」を体験しました。そしてこのことは、現在公開されているAIの限界にもふれることになりました。
現在、データを扱う多くの領域でAIの力は凄まじい進化を遂げています。ことに計算をすること、大量のデータから適切なものを選び出すこと、情報を組み合わせることといったオーダーに対する処理は、AIは人の能力を遥かに凌ぎます。シンギュラリティ(技術的特異点)が起きるのは2045年と言われていますが、すでに一部の領域ではAIは人を越えているといえるでしょう。
一方で、依然AIには自我や自意識、感情や欲望といった人間を人間たらしめているものがありません(「意識」が何かは深い議論が必要になるためここで述べることは一旦避けますが、対談のなかでは触れられることになるかもしれません)。そればかりか曖昧な事象に対する態度すら存在しないのです。
これらの人間らしさは、人間の内側にあると感じられるものです。AIが本当に人間を「超える」のであれば、これらの内側の要素が何かを理解し、それを実装するなり飛び越えるなりする必要があるでしょう。
そのためには、この「内側」が何かを知り、実装するのか飛び越えるのかはたまた第3の道を行くのかを検討しなければなりません。
するとこのテーマは当然、次の ような疑問をもたらします。理解とは何か、思考とは何か、人とは何か、生命とは何か……。
今回の対談ではこの問いを、人工生命(Alife)を研究する池上高志氏と、バイオインフォマティクスのトップ研究者の一人である田口善弘氏が考えていきます。35年前に共に非線形物理学の研究者としてキャリアを歩んでいた2人は、その後それぞれの研究から見えたことを踏まえて、どのような答えを出していくのでしょう。事前打ち合わせなしで開催が決定したスリリングな対談です。お見逃しなく。
イベント詳細
開催日時 2023年3月28日(火)16時〜
配信方法 ZOOM
費用 無料
参加方法 こちらのフォームよりお申し込みください。(お申込みの締め切りは3月28日15時です)
https://forms.gle/5tu8okUpbQq4uxMV6
出演:池上高志、田口善弘(聞き手:竹田茂(Modern Times発行人))
※お申込みいただいた方には、公開より1週間は見逃し配信をする予定です。
登壇者プロフィール
池上高志(いけがみ・たかし)
東京大学大学院情報学環教授。⼈⼯⽣命 (ALife) 研究から⽣まれた理論や技術の社会応⽤に挑戦する株式会社オルタナティブ・マシンの取締役 兼 最高科学責任者。アートとサイエンスをつなぐ活動にも精力的で、過去には⾳楽家・渋⾕慶⼀郎⽒や写真家・新津保建秀⽒とのプロジェクトを公開。著書に『動きが⽣命をつくる―⽣命と意識への構成論的アプローチ』(青土社 2007)、『⽣命のサンドウィッチ理論』(講談社 2013)、『⼈間と機械のあいだ』(講談社 2016 共著)などがある。
田口善弘(たぐち・よしひろ)
中央大学理工学部物理学科教授。バイオインフォマティクス領域の世界トップ2%研究者。遺伝子発現プロファイル解析およびマルチオミックスデータ解析や、テンソル分解を使った教師無し学習による変数選択法を遺伝子選択に用いることに関心を持つ。著書に『生命はデジタルでできている』『はじめての機械学習』(共に講談社ブルーバックス 2020、2021)などがある。