Modern Times編集部

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(写真:Macrovector / shutterstock

クラウドオーケストレーション(Cloud Orchestration)

「クラウドオーケストレーション(Cloud Orchestration)」とは、パブリッククラウドやプライベートクラウドの環境で、システムの構築・運用を自動化するためのプロセス、またはそのためのソフトウェア技術のことです。詳しく解説します。

Updated by Modern Times on October, 11, 2022, 5:00 am JST

オーケストレーションとは、複数のシステムにまたがるシステムの設定、管理、調整などを統合して自動化する手法です。
このオーケストレーションの手法をクラウドに適用したケースを「クラウドオーケストレーション」と呼びます。

クラウドオーケストレーションは、クラウド上におけるサーバーの導入や起動、ストレージ容量の割り当て、ネットワークの管理、仮想化マシンの作成などの多様なタスクを実行する機能を自動化します。
パブリッククラウドやプライベートクラウドを組み合わせたような環境では、これらのプロセスを調整しながら、適切な順序で実行するのは難しいですが、クラウドオーケストレーションツールを用いることで、クラウド上のシステムの構築・運用の自動化が実現しやすくなります。

クラウドオーケストレーションの指し示す範囲は広いものです。
例えば、オンプレミスの機器とハイパースケーラーのパブリッククラウドとを連携させて、システムの構築・運用を自動化させることもクラウドオーケストレーションの一種です。
こうした例は、クラウドを活用する際のネットワークハブ機能を提供するものと考えることもできます。

また、一方で、複数のパブリッククラウドやプライベートクラウドを組み合わせたマルチクラウド環境で、データ利用環境の構築・運用を自動化するクラウドオーケストレーションもあります。
こうしたクラウドオーケストレーションは、クラウドの中でデータハブの役割を果たすことになります。

データハブ機能を提供するクラウドオーケストレーション

ネットワークのレイヤーで各種クラウドサービスの構築・運用が自動化できることはもちろん重要ですが、ユーザーの立場から考えるとより上位のデータのレイヤーでシステムの構築・運用を自動化できれば、さらに利便性が高まります。
こうしたデータのレイヤーに着目したクラウドオーケストレーションを提供する企業に、Neutrix Cloud Japanがあります。

Neutrix Cloud Japanは、クラウド接続ストレージサービスを中核に、コンピュートやネットワークなどからなるクラウドサービスを「Neutrix Cloud」として総合的に提供しています。
その一環として、クラウドオーケストレーション機能も提供しています。

Neutrix Cloudが考えるクラウドオーケストレーションとは、ユーザーがデータを中心にシステムを構築・運用する際に手間がかかる部分を自動化してサービスとして提供し、データ活用を容易にするものです。
通常ならばシステムインテグレーションが必要な部分まで、クラウドオーケストレーションのサービスとして提供していると考えると良いでしょう。

Neutrix Cloudは、大手ハイパースケーラーのパブリッククラウドサービス(AWS、GCP、Microsoft Azure)との間で、閉域網接続をすることでマルチクラウド環境を実現しています。
オンプレミスやプライベートクラウドの併用も可能です。

そうしたマルチクラウド環境において、保有しているデータセットをパブリッククラウドのインスタンスとつないで、新しく分析しようとした場合を考えます。
通常であれば、データセンターにコロケーションの環境を借りて、必要な機器としてサーバーやネットワーク、ストレージを購入して設置し、APIサービスを使ってハイパースケーラーとネットワーク接続を実現するといった手間とコストがかかります。
Neutrix Cloudのクラウドオーケストレーションを使うと、Neutrix Cloudの内部だけでなく、接続したAWS、GCP、Azureにある顧客のインスタンスの環境まで、各種の設定や変更をプログラムだけで実現できます。

Neutrix Cloudのポータルでは、設計するための情報を入力するだけで、各種のクラウドへの接続の自動化ができます。
AWSやGCP、Azureに対して個別の設計をすることなく、サービスだけで自動的につながって利用できるようになります。
一般的には契約から設計、構築まで手間やコストがかかる部分をすべてサービスに含め、従量制のNeutrix Cloudの料金だけで利用できるようにしています。

将来的にクラウドオーケストレーションの対象が広がる

2022年の日本のシステム構築・運用の視点では、ハイパースケーラーと接続するマルチクラウド環境の構築・運用を自動化することが、クラウドオーケストレーションの中心的な役割です。
ハイパースケーラーの各種設定まで、クラウドオーケストレーションで実現できると考えれば良いでしょう。

一方で、クラウドオーケストレーションが対象とする範囲は、今後広がっていくことが考えられます。
ハイパースケーラーのクラウドに加えて、プライベートクラウドやエッジクラウド、モバイルエッジコンピューティングなど、データを活用とコンピューティング能力を求める場所は多様化が進みます。
こうした多様な環境に対して、クラウドオーケストレーションがシステムの構築・運用を自動化する制御プレーンとしての共通基盤になるのです。

Neutrix Cloudでは、クラウドオーケストレーションがデータハブの役割を果たすと考えていることをこれまでに説明してきました。
それはパブリッククラウドだけが対象になるのではなく、データを活用する多様なリソースを共通化して、自動的に必要なインスタンスやコンテナなどの仮想環境を自由に構築・運用できることを示しています。
データを自由に活用するための環境を容易に入手するための手法として、今後もクラウドオーケストレーションの重要度は高まっていくと考えられます。